渦巻く陶彫のイメージ

現在制作中の新作屏風に接着する陶彫部品には、渦巻きの彫りこみ加飾をしています。渦巻きは自分のイメージに再三現れてきます。内から外へ、または外から内へ導く動きが渦巻きにはあって、カタチに緊張感を持たせつつ様々な展開を可能にする要素があります。渦巻きといえば葛飾北斎の「男浪」と「女浪」という大作があります。前に長野県小布施に「男浪」「女浪」を見に行って感動を覚えました。表題にある渦巻く陶彫のイメージというのは、現在制作中の加飾による渦巻き模様のことではなくて、陶彫部品そのものを渦巻き状に床に配置する作品のことを言っています。これは再来年に続くイメージです。渦巻きは均整のとれたものではなく、渦巻く途中で崩壊し再生する際どい部分を構成していきます。集合彫刻として陶彫部品を連結して渦巻きを表現するのは、きっと面白いのではないかと想像しています。画廊など展示場所の大きさによって作品サイズを自由に変えられることもあります。素材が陶彫だけなら野外展示も可能です。今後も始原的なイメージを大切にしていきたいと思います。

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