松島図屏風

東京上野で開催されている「日本美術の至宝」展を見て、尾形光琳の「松島図屏風」に注目しました。尾形光琳の代表作は熱海のMOA美術館にある有名な「紅白梅図屏風」です。自分は何度となく「紅白梅図屏風」を見て、画面中央にある川の流紋に現代的な意匠を感じて、ひと目で気に入りました。19世紀末オーストリアの画家G・クリムトの装飾に似ていると感じました。今回「日本美術の至宝」展に出品されている「松島図屏風」は、図録によると本画は光琳が傾倒した俵屋宗達の「松島図屏風」に倣ったもののようですが、波の動きが一層ダイナミックになっていると解説されています。まさにそのダイナミズムが自分の印象に残ったのです。まるで現代絵画のようで、他の出品作とは雰囲気が異なります。光琳は江戸時代の意匠家、つまりデザイナーであったわけですが、本画にはそうした光琳の面目躍如とした表現があって、大胆な構図や思い切ったデフォルムが生き生きとしていました。

関連する投稿

  • 再開した展覧会を巡り歩いた一日 コロナ渦の中、東京都で緊急事態宣言が出され、先月までは多くの美術館が休館をしておりました。緊急事態宣言は6月も延長されていますが、美術館が漸く再開し、見たかった展覧会をチェックすることが出来ました。 […]
  • 東京竹橋の「あやしい絵展」 先日、東京竹橋にある東京国立近代美術館で開催されている「あやしい絵展」に家内と行ってきました。ウィークディにも関わらず鑑賞者が多く、コロナ渦の影響もあってネットでチケットを申し込む方法は定着したよう […]
  • 甲斐生楠音「横櫛」について 先日、見に行った東京国立近代美術館の「あやしい絵展」では、日本美術史に大きく取上げられている有名な画家がいる一方で、マニアックな画家も多く、私が思わず足を止めた作品を描き上げた画家も、私には名に覚え […]
  • 虎ノ門の「近代日本画の華」展 東京港区虎ノ門にある大倉集古館へこの歳になって初めて足を踏み入れました。若い頃から美術館巡りをしているにも関わらず、大倉集古館には行かなかったのが不思議なくらいです。調べてみると大倉集古館は日本で最 […]
  • 暁斎流の「鳥獣戯画」について 先日、閉幕してしまった「河鍋暁斎の底力」展で、私が気になった数多くの下絵の中から、展覧会のポスターにもなっている作品を取り上げます。ポスターは「鳥獣戯画 猫又と狸 […]

Comments are closed.