平治物語絵巻 三条殿夜討巻

東京上野で開催中の「日本美術の至宝」展で見た二つの絵巻に惹かれました。登場人物の表情やその表現の緻密さは今まで見た絵巻の中で群を抜いているように感じました。会場は大変な混雑ぶりで、人を押し退けないと実物に近づけない有様でしたが、何とか人と人の間から実物を垣間見て回りました。つまりそれは鑑賞者が後を絶たないほど凄い表現力を持った作品であることを示しているわけで、「吉備大臣入唐絵巻」の人物描写や「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」に登場する武士の甲冑や馬の表現、それらが群集となり、さまざまな姿態で表されている情景は、いつまで見てても飽きることがありませんでした。とりわけ自分は「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」のドラマ性のある展開に魅了されました。炎上する御所と上皇が拉致される場面が劇画的効果を齎していました。現在NHKで放映中の「平清盛」にも通じるものがあって楽しく見ることができました。絵巻は物語の展開が楽しめる素晴らしい表現方法です。史実の考察にも一役買っているのかもしれません。コンパクトに巻いて保存できるので、機会があれば自作の絵巻を作ってみたいと思いました。

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