平成館の「日本美術の至宝」展

先日の土曜日に声楽家の叔父が、東京上野でリサイタルを行ったついでに、東京国立博物館平成館で開催中の「ボストン美術館 日本美術の至宝」展を見てきました。お馴染みの絵師等の初めて見る作品に接し、日本から海外に流出した膨大な作品に思いを巡らせました。もしもこれだけの作品が日本にあったらと思うと、このような良好な状態で現在まで保存できているかどうか疑わしいと正直感じました。遺産が海外に流出することは国にとって大変な損失に違いありませんが、当時の国民の日本美術に対する意識の低さからすれば、海外の人々の先見の明に助けられていたのは否めない事実です。米国ボストン美術館の東洋コレクションは世界的にも有名なことは私も知っています。所蔵作品に米国人好みもあるようにも感じましたが、尾形光琳や曽我蕭白の斬新で豊かな画面構成が眼に焼きつきました。いくつかの作品の感想は後日に改めますが、内容の濃い展覧会のために多くの鑑賞者が訪れていました。最近は平成館の企画による日本美術の展覧会に自分もよく足を運びます。自分が学生の頃は、まだ西洋一辺倒の風潮が残っていましたが、ここにきて自分を含めた多くの人たちが日本美術を見直し、その卓抜な表現力を味わっています。博物館側からの仕掛けもあるでしょうが、納得が出来る視覚表現がなければ人は来ないと思います。そういう意味で今回の米国からの一時帰国展は有意義な機会であるし、私たちも先祖の成し遂げた功績を見直す契機になっているはずです。

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