対比する造形原理

現在読んでいる「芸術の意味」(ハーバート・リード著 瀧口修造訳 みすず書房)より気になった箇所を取り上げてみようと思います。まず本書32で論じられている有機的な芸術と幾何学的な芸術です。この相対立する類型は対照的な環境によって決定されるとしています。人々は北方や熱帯という厳しい環境では自然から逃避する形式をとり、自然に似ない幾何学的な芸術を求め、逆に温和な海岸や豊穣な土地で暮らす人々は、自然への共感をもって有機的な形式をとるとしています。本書33ではそうした2つの原理が文明の広がりにより混ざりあい、また時代によってどちらかが勝利を得たりして、形式の興亡が繰り返されていることを指摘しています。それは東洋も含めた世界的な視野の中で、さまざまな地域に共通する2つの原理が存在し、それらが融和し、また妥協があるとも述べられています。その観点で言えば現代にも通じるものがあると思えます。自分の創作行為が生まれ育った風土だけではなく、外的な知識や鑑賞によって培われていることを思えば、原始から至る芸術史をもう一度考えておく必要があると思いました。

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