木質の否定

木材は美しい素材です。木目の美しさに惚れ惚れすることがありますが、自分の造形は木目が邪魔になります。工芸品として木目を最大に生かしたものは身近に置きたいと思うほど木材好きな自分が、自作では木質を否定しています。自然が生んだものを敢えて突き放し、素材を変容させ、木材らしくないものにしてしまうのです。木材には個性があります。石材も同じですが、木らしさ石らしさは日本的な美意識の中で大切にされてきました。自分の造形における素材は無個性でありたいと考えているのです。木目や石目を読み取って造形する作家が多い中で、自分は否定的な立場を取っています。木らしさを捨てて木で表現する、土らしさを捨てて土で表現する、そうした行為に走る自分の思索を巧く言い表せませんが、素材に頼らず自立できる強固な造形を目指していることだけは確かです。

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