描写に飢える

幾何抽象的な作品ばかりやっていると、具象的な傾向に引き戻されていきます。これは10代の最後になって美術家を志すために精一杯やっていたデッサンの影響です。ギリシャ彫刻の模造である石膏像や静物を木炭や鉛筆で描いていました。その狭い世界の中で紆余曲折して10代から20代初めまで過ごしていました。彫塑も同じです。紙が空間に代わり、鉛筆が粘土に代わっただけで、デッサンの勉強には変わりはありませんでした。巧く描ける友人を羨んだり、蔑んだりしながら自分自身を見つめる時間を持ちました。良くも悪くも人生の過敏な時期に、自己表現の術の何たるかを考えていたことは、その後の人生に何らかの影響が出ると思っています。最近、描写がしたいと思うようになりました。こうした願望が出るのは、自分がずっと美術の世界の中に浸っていた証であると思います。今の自分にはRECORDという小さな創作活動があって、幸い描写を試みる機会があります。鉛筆ではなく描き損じが出来ないペンを使って、描写の欲望を満たしています。造形的な計画の具現化ではなく、こうした欲望もあって、それらを全て含んだものが創作行為なのだと思います。描写に飢えるのは自分にとって幸せなことで、これが続く限り創作活動は大丈夫と自負しています。

関連する投稿

  • 9月はいつ涼しくなるのか? 9月になりました。今日はやや涼しくて凌ぎやすい一日になりました。今日は「防災の日」でもあり、今を遡る97年前に関東大震災があり、それが起因となって「防災の日」が設定されたようです。職場でもコロナ渦の […]
  • 仕事再開の6月に… 新型コロナウイルス感染症の影響で、6月になって漸く仕事が通常勤務になりました。ただし、感染症対策は怠りなくやっていかなければならず、完全に仕事が回復した状態ではありません。それでも職場で全員が顔を合 […]
  • 私にとって創るとは… つくるという漢字表記は3種類あります、作る、造る、創るの3種類ですが、このNOTE(ブログ)で私が言いたい主旨なら、創るという漢字が一番相応しいと思っています。創るは創造行為を示すものだからです。私 […]
  • 例年とは異なる5月です 新型コロナウイルス感染拡大が、日常生活に影響を及ぼす状況がこのところずっと続いています。5月になっても通常の生活に戻れる気がしません。そんな中ですが、今月の創作活動について考えてみたいと思います。創 […]
  • 外出自粛の5月を振り返る 今日は5月の最終日ではありませんが、今月のことを振り返ってみたいと思います。5月末は週末で、明日の土曜日は母の四十九日法要があり、明後日は図録用の作品撮影日になっていて、そのことについてNOTE(ブ […]

Comments are closed.