「ゴーギャン オヴィリ 一野蛮人の記録」の読後感

昨年暮れから通勤鞄に入っている「ゴーギャン オヴィリ 一野蛮人の記録」(ゴーギャン著 岡谷公二訳 みすず書房)をやっと読み終えました。ずいぶん長く携帯していた書籍です。当時フランス領だったタヒチを初めとする島々で、彼の地を統治していた憲兵と原住民の間に入って、ゴーギャンはさまざまな感想や思索に耽り、また白人社会に抗議を繰り返していた様子を伺うことができました。島の生活がどんなものであったのか、ゴーギャンの眼を通して具体的に語られていて興味は尽きません。ゴーギャンの色彩や画面構成に高校時代から惹かれていた自分は、彼の地に行って身体を張って培ってきた表現力に感銘するばかりです。ただ、本書は芸術家としてのゴーギャンばかりではなく、当時の社会や西欧文明に対する批評家としてのゴーギャンをも感じさせます。こうしたゴーギャンの文献が表に出るのには相当な時間が必要だったようですが、在りのままのゴーギャンを捉えたいという編者の意思が感じられる一冊だと思いました。また、明日から新たな書籍の扉を開きたいと考えます。まだまだ自宅の書棚に眠っている書籍は数多くあります。

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