「戸谷成雄展 洞穴の記憶」

先日行ったヴァンジ彫刻庭園美術館で表題の展覧会をやっていました。彫刻家戸谷成雄氏はチェンソーで材木を刻んで灰色に彩色した独特の世界を持った人です。細かく突起した部分や襞となっている部分がさまざまな連想を生みだす彫刻は、時に地上に垂直に現れたり、時に地中に窪んでいきます。その痕跡は人間の営みを象徴的に表現していて、自然物に確かな刻印を残しているように思えます。最近作ったものでも遙かな時間を経ているようにも思えます。森を表現した作品群の中にいると、垂直に立てられた多くの木材がまるで人々の姿のようでもあるし、また仏像が並んでいる静謐な寺院の中にいるような錯覚に陥ることがあります。この日は視覚や触覚を刺激する展覧会に出会えて、とても充実した一日を過ごせました。

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