「北斗七星の庭」展

先日、東京外苑前にあるワタリウム美術館に表題の展覧会を見に行きました。作庭家重森三玲による庭園設計や関連の品々を集めたもので、展示空間に原寸大にディスプレイされた庭園が展示してありました。京都の東福寺にある重森三玲の庭園は、斬新な構成で抽象絵画を髣髴とさせるものがあります。市松模様を用いた北庭、石柱によって北斗七星を表現した東庭など、自分が当地で感激した空間を挙げれば切りがなくなります。庭園の展覧会は実際の庭園に比べれば迫力の点で今一歩と言えそうですが、実際の場面を思い出しながら、重森三玲が表現したかった庭園の美とは何かを考える絶好の機会となりました。庭園設計は、亡父が造園業だったこともあって自分には興味の尽きない世界なのです。場の彫刻あるいは集合彫刻と銘打って自分が打ち込んでいる創作活動の先には、亡父が背負った庭園設計があるのかもしれないと思っています。そんな意味でも今回の展覧会は、空間を楽しみつつ自分の将来像をイメージする契機になっていると考えました。

関連する投稿

  • 板橋の「深井隆ー物語の庭ー」展 昨日、東京板橋にある板橋区立美術館で開催中の「深井隆ー物語の庭ー」展に行ってきました。板橋区立美術館は過去に数回訪れたことのある美術館で、規模は大きくないけれど美しい空間をもつ美術館です。ただし、私 […]
  • 「人と出会ってしまうから…」作品雑感 先日、見に行った平塚市美術館で開催中の「神山明・濱田樹里展」で、注目した作品を取り上げて感想を述べたいと思います。「人と出会ってしまうから 街へ行ってはいけない 約束を忘れてしまうから […]
  • 8月の制作目標 今月、職場では休庁期間を設定し、夏季休暇を取り易い状況を作っています。私も例外ではなく、今月は旅行も創作活動も共に邁進させていきたいと願っています。まず陶彫制作ですが、全体の計画として屏風の形式を採 […]
  • 葉山の「砂澤ビッキ展」 先日、神奈川県立近代美術館葉山で開催されている「砂澤ビッキ展」に行ってきました。副題に「木魂を彫る」とあって、生前巨木に挑んだアイヌ人彫刻家の痕跡を辿ることが出来る優れた展覧会でした。私は導入の部屋 […]
  • 週末 7月個展開催と次のステップへ 7月になりました。今月は東京銀座のギャラリーせいほうで個展を開催いたします。毎年やっていて、今年で12回目の個展になります。これも例年のことですが、今月は来年に向けた最新作を始める第一歩となります。 […]

Comments are closed.