信濃観月苑の「猫展」

昨日、長野県麻績の池田宗弘先生宅を訪ねた折、麻績村にある信濃観月苑で池田先生が「猫展」を開催しているので見てきました。猫は池田先生にとって生涯の友であり、彫刻や絵画、版画のテーマでもあります。池田先生が育てた猫は数知れず、東京の東村山に住んでいる時から猫に囲まれていました。しかも捨て猫ばかり育てています。この師匠にしてこの弟子あり、というわけで自分も何の縁か捨て猫「トラ吉」を育てています。思えば自分が池田作品に初めて出会ったのも猫の群像彫刻で、その強烈な印象に圧倒されて弟子入りしたようなものです。真鍮直付けによる骨ばった猫、中には穴が空いて心棒が丸見えになった猫もいて、それら猫たちが忍び足で四方八方から餌である魚に近づいてきます。魚もほとんど骨の状態で、そこには逞しく生きようとする猫たちの生命が躍動していました。信濃観月苑で開催中の「猫展」にも真鍮による猫の彫刻が展示されていました。「猫展」では水彩や木版画になった猫もいて、それら猫たちのエピソードも記されていました。血統書付の猫を飼っている知人がいますが、同じ猫好きでも生活の底辺で逞しく生きる猫たちとともに生きている池田先生に共感を覚えます。

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