「シュルレアリスム宣言」以前

現在、通勤電車の中で読んでいる「アンドレ・ブルトン伝」(アンリ・ベアール著 思潮社)は、時代背景やら現代文芸史の知識が乏しいとなかなか先に進めず、長い間鞄の中に携帯している状態です。ちょうど20歳代前半のブルトンが、周辺の仲間とダダイズムを体現し、芝居の戯曲の中で破壊行為ともとれる言動を行ったり、騒々しい集会を開いたり、催眠実験を繰り返しています。ダダイズムの時代に生きた作家であれば、その雰囲気がわかるのでしょうが、自分はこうした書籍から知識を得るのみで、一時代を風靡した運動のことはよくわかっていません。体系化されることを嫌い、既成概念を打ち砕くダダイズムは、当時は革新という知識を纏った暴動だったのかもしれません。それによって行き着く先は、一体どこなのでしょうか。さらに熟考され、啓蒙的でさえあったシュルレアリスムだったということでしょうか。ブルトンが20歳代後半になって、シュルレアリスム宣言に至る過程が同書で描かれており、今読んでいるところは、まさにシュルレアリスムに差し掛かる箇所なのです。いよいよ面白くなるブルトンの伝記ですが、短い通勤時間の中で、じっくり味わいながら読んでいこうと思います。

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