原始の不思議 ラム
2011年 4月 20日 水曜日
「ピカソはラムのなかに、自分とは正反対の道をたどりおおせた人間にのみ望むことのできる、唯一の確証を見いだしたのであろう。すなわち、みずからにそなわっている原始の不思議から出発して、意識の最高の地点にまで到達し、そのためにはヨーロッパ芸術のもっとも精妙な分野までもわがものにした人間。その意識の地点はまた、ピカソという芸術家との出会いの地点であり、後者は後者で、まずそれらの分野をもっとも自在に支配するところから出発し、だが一方、原始の不思議とむすびつきうる諸原理にたえず立ちもどることの必要を提示してきたのである。~略~」(A・ブルトン著「シュルレアリスムと絵画」人文書院)シュルレアリスムの画家ヴィフレド・ラムは、スペイン人の母と中国人の父をもち、キューバで生まれています。地元の横浜美術館のコレクションにラムの絵があって、自分は美術館を訪れる度に作品を見ていますが、もっと前にまとまった作品群を見ている記憶があるのです。いつごろでどこであったか忘れていますが、ラムが特異な環境で育った画家であることを自分は前から知っていて、その呪術的で土俗的な画風は印象に残っています。ピカソに見いだされ、ブルトンに賞賛された画家ラム。ヨーロッパ圏以外の環境から、原始の不思議を纏った芸術家が現れたのは、芸術に革新をもたらせた時代にあっては当然の成り行きだったのかもしれません。
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Tags: 書籍, 画家, 芸術家
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