自分に問う

自分の創作するものが、自分の中から自然に湧き出たり吐露できるものであればいいと思っています。モノ作りには自分への無意識な問いかけがあるのだろうとも思います。自分とは何か?自分が満足できるものとは何か?自分の生い立ち、環境、嗜好、癖など…。若い時は若いなりに多少カッコつけて理想的な自分像を追っていました。当時の作品は稚拙でカッコばかりで、もう見たくもない作品が沢山あります。哀しいかなその作品も当時の自分の造形なのです。今の作品だって数十年も経てば、どうなるかわかりません。モノ作りは言わば生涯学習であり、現状の作品のいたらなさを嘆いて、次の制作に賭ける動機になるものです。そんな自分のことを考える上で、自分は自分を取り巻く環境に思いをめぐらせます。いささか突飛な話ですが、自分はどんな血を受け継いでいるのかを考えることがあります。相原の実家は土着の家系で、先祖は貧しい小作人だったようです。昼夜を分たず働いて財を成したことで、村でも一目置かれる存在になれたと亡き祖父母が言っていました。労働の美徳。これが実家の家訓でした。先代は農家、祖祖父と祖父は大工の棟梁、父は造園業を営み、土地に根ざした職人として生計を立てていました。その身上を潰しそうなのが彫刻家である自分です。自分も土地に根ざす姿勢は変わりませんが、何を作るべきかは代々受け継がれてきた文化と呼ぶべきものがあれば、それをもう一度考える必要がありそうです。自分の中から必然として生まれる造形。これからも自分の足元を見ながら自分に問いかけをしていきたいと思います。

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