表現主義の時代
2011年 2月 17日 木曜日
1980年から85年までの5年間、オーストリアに暮らしていた自分は、古都ウィーンの前々世紀から変わらぬバロックの燦然たる景観に、時として愛着を感じていました。これはドイツ表現主義の時代でも、変わらぬ空気をもって街が存在していたのではないかと、生活しながら感じられたことのひとつです。果たして1910年から20年頃のドイツは、実際にどんな雰囲気をもっていたのでしょうか。自分は渡欧前からドイツ表現主義に魅かれていましたが、ドイツ語圏の国に住んで、その思いは一層強くなりました。「ブラウエライター(青騎士)」や「ブリュッケ(橋)」といった表現主義のグループは、どんな環境の下で、また街とどんな関わり方をもって創作活動を展開していたのでしょうか。街はどんな気運に包まれていたのでしょうか。時間旅行が可能ならば、自分はその時代に飛んでみたいと思います。ナチスが台頭してきて、表現主義は「頽廃芸術」としての烙印を押されますが、逆に当時の「頽廃芸術」展には、何と時代を先取りした革新的な作品が集められていたことでしょう。願わくば「頽廃芸術」展が見てみたいと思うのは私だけではないはずです。ドイツが美術界でエポックを迎えたというのに、政治によって弾圧された時代。その悲痛な叫びが自分の心を捉えていると感じます。
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Tags: ウィーン, ドイツ, 創作, 留学, 芸術家
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