鎌倉の「辻晋堂展」

自分の学生時代、池田宗弘先生が個展をしていた縁で、ギャラリーせいほうに通い始めました。そこで陶彫による個展を開催していたのが辻晋堂と速水史朗でした。当時、ギャラリーせいほうの関連会社であった聖豊社から「現代彫刻」という雑誌が発行されていました。彫刻家辻晋堂は「現代彫刻」に特集が組まれ、自分は興味をもって読んでいました。その頃、初期の作品は雑誌に掲載された図版でしか見ることができず、辻晋堂が歩んできた彫刻家としての道を、実物の彫刻作品で辿ることができませんでした。今回、鎌倉にある神奈川県立近代美術館で、かねてより見たかった初期から晩年までの辻作品が一堂に集められたのは自分にとって幸運でした。とりわけ初期の写実を追及した木彫作品が見られたことは感慨一入でした。木彫は鑿の彫り跡からして技巧的には天下一品で、端正で確かな造形力に驚きました。ただ、木彫の肖像作品はあまりにも自然で印象が薄く、やはりこの時代に類を見なかった陶彫作品の方が地球規模の存在感を示しているように感じました。まだまだ書きたいことがありますが、次回に稿を改めたいと思います。

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