非対象絵画探求への道

昨日に続いてロシア人画家カンディンスキーの辿った非対象絵画探求の道を考えます。それは近代から現代へ美術界で大きな価値転位が行われた事件と言えます。カンディンスキーの絵画にはよく宗教的な題名がつけられています。「カンディンスキー研究」(西田秀穂著 美術出版社)を読み進んでいくと、カンディンスキーが宗教的感情によって芸術における精神性を唱え、「ヨハネ黙示録」等からのモチーフを、やがて記号化させていく過程が詳細に述べられています。時系列を追いつつ非対象化させていく世界は、その契機として「コスミックな悲劇性」の表現が芸術の目標とすることを念頭において、やがて到来するであろう神の救済「新しい精神の王国の建設」を祈念して描かれたものと論じています。現代絵画への価値転位が、そうした宗教的なモチーフによって成されたことに自分は新鮮な驚きを持っています。自分に置き換えれば、自分の創作活動にどんな探求が存在するのか、何によって自分は創作に興ずるのか、そこに何を求めているのか、カンディンスキーの非対象絵画探求の道を辿ると、自分のやっていることが浮き彫りにされてきます。この書籍を読むことで、自分自身の辿った道を見つめなおす機会となれば幸いと考えます。

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