カンディンスキーの初期絵画

非対象絵画の創始者として有名なロシア人画家カンディンスキーは、自分が最も注目している芸術家の一人です。カンディンスキー関連の展覧会は、時間や場所が許すならば必ず見に出かけています。最近では東京丸の内の美術館で開催していた「カンディンスキーと青騎士」展がありました。その展覧会にも出品されていたカンディンスキーの初期の油彩画に自分は特別な愛着を持っています。油彩画はいずれも小さく、童話のような風景が広がる画面です。そこには20代の自分が初めて暮らした南ドイツの村々が描かれていて、自分の思い出と重なるのです。現在読んでいる「カンディンスキー研究」(西田秀穂著 美術出版社)の中に、初期油彩画の考察が載っています。加えてテンペラ画や版画も扱っていますが、完成度が高いとされるテンペラによる代表作を自分は見たことがありません。機会があれば、ぜひ見たいと思っています。木版画も同様です。ドイツ表現派の木版画に、自分は学生時代から影響を受け続けてきました。同書の図版で見る限りテンペラ画は、木版画に似ていて黒一色の画面の中に大きな点描によって人物や風景を浮かび上がらせ、画面構成の強さを感じさせます。次第に対象がなくなっていく過程で、カンディンスキーの心情にどんな変化が起きたのか、同書の展開が楽しみになっています。

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