2011年RECORDの方向性

2010年のRECORDは描写的な要素を取り入れた作品をやってきました。月々のテーマも具象絵画を喚起するものを選んでいました。ペンによる陰影表現は結構楽しんで出来ました。一方で技巧に流れて、ややもすると小手先の上滑りになってしまった反省もあります。表現を掘り下げることは、たとえどんなアプローチをしても精神性が失われると薄っぺらな表現しか出来ず、それは具象抽象に限らず極めて困難なことを知りました。そこで今年のRECORDですが、一昨年の表現方法に戻すことにしました。構成的な要素で再び作品を始めています。陰影をつけた描写から平塗りの構成へ。ちょうど振り子のように具象と抽象を行ったり来たりしています。でも同じところを振られる振り子ではなく、スパイラルを描いて表現が深まればいいなぁという理想はあります。また1年間の長丁場。1ヶ月ごとにテーマを決めて、さらに5日間の展開として毎日RECORDを描いていこうと思っています。たかが葉書大の平面作品ですが、されど日々の蓄積があって、行きつ戻りつ自己を見つめ続けていきます。今年のRECORDはどんなふうになっていくのか、自己発見が楽しみでもあります。

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