「少女が見た湖の夢」M・エルンスト
2010年 11月 30日 火曜日
横浜美術館は自分の地元にある施設なので頻繁に訪れます。主に企画展が目的ですが、常設にも注目すべき作品が多く、常設展示会場にもよく足を運びます。自分の憧れる彫刻家イサム・ノグチの他にシュルレアリスム絵画や彫刻のコレクションが充実していて嬉しい限りです。その中の1点、マックス・エルンストの油絵「少女が見た湖の夢」は、美術館を出る前に必ず見にいきます。何回見ても飽くことのない世界で、その深みに入り込んでしまうのです。謎めいたタイトルと神秘的な色彩。さらにシュルレアリスム絵画特有のオートマティスム(自動筆記)を効果的に使っています。技法としてはデカルコマニーを多用していて、その偶発的な表現に何かの幻影を見てるような錯覚に陥ります。幾重にも重なる岩石の層、太古から甦る化石のような層、そこに染み入る水、それが湖となって夢とも現ともつかぬ世界が出現しています。近隣の美術館において、こんな世界観をもった作品がいつでも見られる幸せを実感しています。
関連する投稿
- 横浜の「マックス・エルンスト展」 先日、横浜美術館で開催中の「マックス・エルンスト展」に行ってきました。シュルレアリスムの主流な芸術家の一人であるドイツ人画家マックス・エルンストは、画風がシュルレアリスムであるなしに関わらず、自分は […]
- 「三本の糸杉」M・エルンスト シュルレアリスムの画家マックス・エルンストは大好きな芸術家の一人です。いつもマチエールの巧みさと面白さに魅了されます。フロッタージュ(擦りだし)とグラッタージュ(削り)によって、画面が地質的であった […]
- 「池田龍雄 アヴァンギャルドの軌跡」 先日、表題の展覧会に行ってきました。神奈川県川崎市にある岡本太郎美術館は、岡本太郎ゆかりの芸術家による企画で見応えのある展覧会が多く、そのたびに見に出かけます。現在開催中の「池田龍雄 […]
- 「カンディンスキーと青騎士」展 自分にとって注目すべき展覧会です。ブログに何回となく書いているカンディンスキーは、P・クレーやシュルレアリスムの芸術家と共に自分の中に今も生きつづけている画家なのです。年刊誌「青騎士」の翻訳が白水社 […]
- 竹橋の「麻生三郎展」 先日、東京竹橋にある国立近代美術館で開催中の「麻生三郎展」に行ってきました。背景と同化した人体。混沌とした重厚な壁を見ているような麻生三郎の油彩は、人の存在を問うような世界観をもっています。灰一色に […]
Tags: イメージ, 作品, 創作, 展覧会, 画家, 芸術家
The entry '「少女が見た湖の夢」M・エルンスト' was posted
on 11月 30th, 2010
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.