「少女が見た湖の夢」M・エルンスト

横浜美術館は自分の地元にある施設なので頻繁に訪れます。主に企画展が目的ですが、常設にも注目すべき作品が多く、常設展示会場にもよく足を運びます。自分の憧れる彫刻家イサム・ノグチの他にシュルレアリスム絵画や彫刻のコレクションが充実していて嬉しい限りです。その中の1点、マックス・エルンストの油絵「少女が見た湖の夢」は、美術館を出る前に必ず見にいきます。何回見ても飽くことのない世界で、その深みに入り込んでしまうのです。謎めいたタイトルと神秘的な色彩。さらにシュルレアリスム絵画特有のオートマティスム(自動筆記)を効果的に使っています。技法としてはデカルコマニーを多用していて、その偶発的な表現に何かの幻影を見てるような錯覚に陥ります。幾重にも重なる岩石の層、太古から甦る化石のような層、そこに染み入る水、それが湖となって夢とも現ともつかぬ世界が出現しています。近隣の美術館において、こんな世界観をもった作品がいつでも見られる幸せを実感しています。

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