二束の草鞋を履いて…

自分がやりたい仕事と経済的自立が一致すれば、それは幸運な人生だと思います。自分もそうでありたいと望んでいたのですが、自分のやりたい創作活動では生活が出来ないことはわかっていました。彫刻家という職業を選ぶこと事態、生活設計を考えれば無謀な選択です。彫刻を続けている人は、たとえば大学で彫刻を教えていたり、あるいはまるで別の仕事を持っているケースが多く、自分は後者にあたります。これは何も彫刻に限ったことではなく、会社に勤務しながら文筆業をやっていたり、また自分の知り合いには演劇に打ち込む人もいて、自分と同じ境遇です。そんな境遇にいる人は誰でも、本当にやりたいことでは経済的自立が出来ない理由で二束の草鞋を履いているのですが、自分の現状では、だからといって給与を貰う仕事もおろそかに出来ないというのが本音です。彫刻は言わば自己満足を得るための手段で、もちろん作品の精神性を問われて、その思索如何によっては人を感動させる表現活動ですが、一方公務の方は、組織として働いているわけですから、人との関わりが大切になり、その中で自分の持てる力を尽くしていると言えます。自分が管理職という立場になって、さらに気の抜けない事案を抱えることが増えてきました。二束の草鞋は双方に別々の厳しさがあって、自分という人間の中でそれが共鳴し、反発し、支えあいながら歩んでいるように思えてなりません。まだ当分続く道のりです。退職まで何とか乗り越えていきたいものです。

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