M・エルンストに纏わる話

ドイツのシュルレアリスムの画家であるマックス・エルンストは、自分の好きな画家の一人です。エルンストは、幼い頃はしかにかかって熱にうなされ、彼が寝ていた天井の羽目板の木目が目玉に見えたり、鳥の頭に見えたりしたことを覚えていて、それで幻想絵画を描き出したのを何かの本で読んだことがあるのです。自分にも似た体験があります。実家が農業を営んでいた旧家で、やはり天井の羽目板から、いろいろなモノが連想されて一人で眠るのが怖かった思い出があります。天井から誰かが覗いているという強迫観念がいつも自分を捕らえていて、布団を頭から被ると息苦しいし、かといって天井が見えるのも怖いという毎晩やってくる情景のつらさを思い出します。シュルレアリスムはそんな過剰なまでに現実感のあるものを表現したのではないかと後になって思うようになりました。通常の見慣れた世界の中に不意に感じられる意識過剰な世界。エルンストが描いた世界が好きになったのは、そんな幼い頃の体験によるもので、自分の内面世界にスポットを当てられた感覚を持ったからだと思っています。

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