《白い風景》シリーズとクロッキー

昨日のブログの続きになりますが、神奈川県立近代美術館鎌倉別館で表題の展覧会を見てきました。保田春彦先生の金属による抽象彫刻は、ずっと自分の脳裏にあり、また気になる世界観をもった作品です。その保田先生がパリで病に倒れて、現在車椅子の生活を余儀なくされていることは、長野県麻績に住む池田宗弘先生から聞いていました。私は保田先生とは話をしたこともないくらいの面識なので、遠くから回復を祈るばかりですが、今回のクロッキー展には病に倒れた時の心理的な描写もあって驚きました。歪んだ自画像、治療する医師たちの手許、介護の様子などを素早く描いたクロッキーで己の全てを曝け出し、それを作品化にまで繋げていく強靭な意志に対して、敬意を払わずにはいられません。保田先生は「老いのツッパリ」と称して、病に倒れる前から1000枚の裸婦クロッキーに挑み、1300枚のクロッキーを描かれたことを展覧会を通して知りました。クロッキーはどれも長い彫刻家生活で培われた形態把握のしっかりした線描によって情緒を排除し、完成度の高いものになっていました。

関連する投稿

  • 週末 制作と鑑賞の狭間で… 自分の制作には思索あり、他の作品の鑑賞もまた思索あり、で制作時間に追われているのは重々承知の上で、今日の午後は美術館に出かけてしまいました。午前中は午後の時間を空けるため、木彫の作業に集中力をもって […]
  • 夏季休暇 美術館巡り 今日と明日の2日間夏季休暇を取っています。先週の2日間の夏季休暇は菩提寺の墓参りと長野県麻績にいる彫刻家池田宗弘先生宅にお邪魔して2日間を過ごしました。今回の夏季休暇の予定では、今日は都心の美術館巡 […]
  • 「美術にぶるっ!日本近代美術の100年」展 東京竹橋にある国立近代美術館全館を使って大がかりな展覧会が開催されています。「美術にぶるっ!」というキャッチコピーが目にとまったので見てきました。いわゆる所蔵作品を選抜した展示で、学芸員の企画力と頑 […]
  • 世田谷の「佐藤忠良展」 今年99歳の彫刻家。70年以上にわたって彫刻一本でやってきた人に羨望を覚えるのは私だけではないと思います。自分だって可能性無きにしもあらず、と自分を奮い立たせたい心境です。彫刻家佐藤忠良は、彫刻を始 […]
  • シュルレアリスム時代のジャコメッテイ 国立新美術館で開催中の「シュルレアリスム展」に出品されているアルベルト・ジャコメッテイの彫刻は、ある意味で自分の眼には新鮮に映りました。ある意味で、と言うのはジャコメッテイと言えば、全てを削ぎ落とし […]

Comments are closed.