飛騨高山美術館へ…

台風4号の影響で予定していた世界遺産白川郷や五箇山の集落行きを明日に延ばしました。今日は雨の高山市内を散策することにしました。昔訪れた時にはなかった美術館を見つけ、そこに出かけることにしました。実は自分は観光地で新たに作られた美術館にあまり期待していないことが多く、収蔵品も観光化された奇異なモノという印象がありました。乗り気じゃなかったところを家内に誘われて、気分転換になれば良しという程度の気持ちで出かけましたが、ここの美術館には正直言って驚きました。それはエミール・ガレ、マッキントッシュ、ウィーン工房によって装飾された部屋がそれぞれ作られていて、その雰囲気を直に感じることが出来たからです。家具や調度品、工芸品をばらばらに見る機会はあっても、常設として一堂に集められ、しかも部屋を形作っている演出は初めてです。とくにマッキントッシュは図版でしか見たことのないものを実際に見ることができて、それだけでもここに足を運んだ甲斐があったと思いました。アール・デコは自分の大好きな様式です。とは言えアール・デコのこんな部屋で実際に生活をしたならば、自分なら疲れが癒されないと思いながら、それでも理知的で構成的なデザインスタイルが好きなのです。日常品は機能的ですが非日常的な空間がそこにあります。アール・デコに対してそんな感想を自分は持っています。

関連する投稿

  • 「描かれた空想美術館」を読んで 昨日は何故ホルスト・ヤンセン展の回想を書いたかと言えば、今読んでいる種村季弘著「断片からの世界」にヤンセンの評論が掲載されていて、20数年前にウィーンで知った卓越した素描画家の様々な面を知ることがで […]
  • 「種村李弘の眼 迷宮の美術家たち」展 先日、東京の西高島平にある板橋区立美術館に行き、表記の展覧会を見てきました。故人である種村季弘は、私が滞欧中に親しんだウィーン幻想絵画を取り挙げた文学者で、深層心理に働きかけをするドイツ・オーストリ […]
  • ウィーン美術アカデミーのボス 昨日ボスに纏わるブログを書いていて、ボスの絵との出会いを思い返してみました。1980年に自分はウィーン美術アカデミーに入学しています。でもその頃は、アカデミーから歩いて10分のところにあるウィーン美 […]
  • ウィーン美術アカデミー名作展 ウィーン美術アカデミーは母校です。とはいえ、やはり外国人である自分は学生同士の繋がりも希薄だったため、日本の学校のように胸を張って母校と言えないところがあります。でも1980年代に在籍していました。 […]
  • E.バルラハ展 ウィーンにいた時、そこの美術館にE.バルラハの刀を振りかざした人体彫刻がありました。最初はK.コルビッツが作ったものだと誤解していました。あまりにもコルビッツの素描や版画と似ていたのです。人物を簡潔 […]

Comments are closed.