「鴨居玲 終わらない旅」展

画家鴨居玲、享年57歳。先日横浜のデパートで開催されていた「鴨居玲 終わらない旅」と題された展覧会を訪れた印象は、画布に己を塗りこめた壮絶な画風で観る人を圧倒するといったものでした。57歳と言えば働き盛りで、画家としてはこれからさらに邁進できると言っても過言ではありません。鴨居は若いときから己と格闘し、自身が納得のいく表現を打ち立てたと思ったら、あまりにも短い創作生活に自ら幕を引いてしまった画家でした。鴨居は海外に滞在し、そこに住まう人々をテーマに取り上げながら、常に自画像が投影されて、自分の内面を絵画によって見つめ続けた画家でした。自分はそんな独特な人物表現のみならず、鴨居の描く教会の空漠たる風景にも興味があります。傾いた塊となった教会。装飾もなくただ存在している建造物。孤独な中で確固たる主張を続ける表現世界が、自分の中に根を下ろしてしまったようです。

関連する投稿

  • 暁斎流の「鳥獣戯画」について 先日、閉幕してしまった「河鍋暁斎の底力」展で、私が気になった数多くの下絵の中から、展覧会のポスターにもなっている作品を取り上げます。ポスターは「鳥獣戯画 猫又と狸 […]
  • 美術館を巡った日 今日は用事があって職場から年休をいただきました。用事はすぐ終わってしまい、残りの時間を横浜や東京の美術館巡りに充てました。ウィークディに展覧会を見に行く機会がなかなかなかったので、今日はラッキーな一 […]
  • 虎ノ門の「近代日本画の華」展 東京港区虎ノ門にある大倉集古館へこの歳になって初めて足を踏み入れました。若い頃から美術館巡りをしているにも関わらず、大倉集古館には行かなかったのが不思議なくらいです。調べてみると大倉集古館は日本で最 […]
  • 週末 六本木・銀座・上野を渡り歩く 今日は東京の博物館、美術館、画廊を回ろうと決めていました。後輩の彫刻家が二科展出品、同僚の画家がグループ展参加、その他見たい展覧会があって、二科展とグループ展の日程が合うのが今日しかなかったのでした […]
  • 上野の「ゴッホ展」 昨日、東京上野の上野の森美術館で開催されている「ゴッホ展」に行ってきました。日曜日の午後で、しかも人気のある画家だったためか会場内は大変混雑していて、私は鑑賞者の間隙を縫ってゴッホを始めとするハーグ […]

Comments are closed.