作品展示の演出

彫刻を学んでいた学生時代には、作品のクオリティを高めることに精を出していて、作品がどこに展示されるかは念頭にありませんでした。作品を人に見せることを考えていなかった時代です。これはこれでよかったと今では思っています。演出効果ばかり考えていたのでは、人の心を打つ作品を作れるはずがなく継続もできないと思っているからです。作品が置かれる環境を考えるようになったのは滞欧中のことです。彫刻の歴史に刻まれた街や広場に接して、環境が作品の内容も変えると感じました。展覧会も同じで、どういうデザイナーが関わったか知る術もありませんが、作品の展示で見事な演出がされているのをよく目にします。先日出かけた千葉県の川村記念美術館も一部屋一部屋が現代美術を鑑賞するのに相応しい演出がありました。企画展だったジョセフ・コーネルの箱の中に広がる小世界も、その見せ方に工夫がありました。星空をイメージした会場では、コーネルの箱や詩人高橋睦郎のコトバに照明が当てられ、闇から造形と詩が立ち上がってくるように感じました。星もひとつひとつ手書き風に作られて、乾いた情緒が吹き抜けていくような全体の空気を感じました。鑑賞する側からすれば作品だけではなく、そうした展示空間もあわせて印象に残ります。やはり作品展示の演出の大切さを思わないわけにはいきません。

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