もう一度「瀧口修造全集」へ
2010年 5月 11日 火曜日
瀧口修造全集(みすず書房)の1巻から4巻まで読んだところで、一呼吸入れて別の本を読んでいました。「バルラッハの旅」(上野弘道著 風間書房)や「岩崎弥太郎と三菱四代」(河合敦著 幻冬舎)などを読んで、ここにきてもう一度「瀧口修造」に戻ってきました。瀧口ワールドは読んでいくうち頁を捲るペースはしだいに落ちてきますが、コトバひとつひとつを堪能しながら読み解いていく楽しさがあります。瀧口ワールドは、散文のような詩のような美術評論で、コトバとアートが対峙しているような印象です。ずっと読み続けていると、瀧口流の独特なイメージに翻弄されるので、自分はまた一呼吸入れたくなると思います。そんな希薄な読書癖がついているのは私だけかもしれませんが…。美術作品の中には論評や概説では賄いきれないものがあって、それが詩を生み出すのではないかとさえ思えます。現に美術評論家の中には詩人としても活躍している人がいます。瀧口修造はその最たる人物で、珠玉のようなコトバを噛み締めながら全集読破に向けて瀧口ワールドを満喫したいと思います。
関連する投稿
- コトバと彫刻について 私は彫刻に関わるようになったのは大学の1年生からで、それまで工業デザインを専攻するつもりだった私が、極端な方向転換をして初めて彫刻に出会ったのでした。本格的な立体表現を知らなかった私は結構混乱して、 […]
- 非存在という考え方 あまり夢を見ない私が、ある晩に見た夢を覚えていて、夢の中では学生時代に遡って彫刻を学び始めた頃の私になっていました。人体塑造をやっていた私は、どこの部分の粘土を削り取ったらいいのか散々考えていました […]
- 詩集「青蜥蜴の夢」を読み始める 横浜駅地下街の古書店で見つけた「土方久功詩集 […]
- 無意識が関与する創作動機 「たぶん私たちには、知的で芸術的な創作についても、その意識的な性格を極端に過剰評価する傾向があるのだろう。しかし、ゲーテやヘルムホルツのような幾人かのきわめて創作力に富んだ人々の報告から私たちが聞き […]
- 「瀧口修造の詩的実験1927~1937」 現在、通勤時間帯ではドイツ表現主義の画家アウグスト・マッケに関する書物を読んでいます。自宅の食卓には「瀧口修造の詩的実験1927~1937」(思潮社)がいつも置いてあって、毎晩適当な頁をめくっては何 […]
Tags: イメージ, コトバ, 書籍
The entry 'もう一度「瀧口修造全集」へ' was posted
on 5月 11th, 2010
and last modified on 5月 11th, 2010 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.