ウイーン回想から始まる1年

昨夜、NHK番組からウィンナーワルツが流れてきました。恒例のオーストリア国営放送局が衛星で流している「ウイーン・ニューイヤーコンサート」の模様です。自分は毎年この時期にこの番組をブログで取り上げています。理由は1980年から85年までウイーンにいて、当時は立ち見でこのコンサートを聴きに行っていたからです。ウイーン国立美術アカデミーに在籍していた自分は、日本の旅行社に依頼されてチケットをとるアルバイトをしたことがあるのです。生活の足しにやっていたことでしたが、自分も大晦日は国立歌劇場でJ・シュトラウスのオペラ「こうもり」を立ち見で観て、元旦は楽友協会でのコンサートにこれも立ち見で聴いていました。コンサートが終わると室内を飾っていた花々を適当にもらって帰って、自分の下宿に飾っていました。美しい旋律に聞き惚れながら、明日のパンを気にする毎日でしたが、当時は時間がいっぱいあって心は充実していたように感じられます。楽友協会(ムジークフェアライン)はクラシックを聴くのに、大き過ぎず小さ過ぎず、ちょうどいい空間でした。そこでは音楽がまろやかに聴こえていたことは素人の自分にもよくわかりました。最初は室内装飾の美しさに眼を奪われましたが、そのうち音楽の虜になって装飾は眼に入らなくなりました。そんな音楽体験が忘れられず、毎年この衛星放送に釘付けになってしまうのです。

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