「パウル・クレー 東洋への夢」

表題の展覧会は、静岡県立美術館で開催されているもので、知人からチケットをいただいたので行ってきました。クレーはたびたびブログに書いている画家で、この巨匠に関する興味はずっと尽きません。自分は20代前半で初めてミュンヘンに行き、レンバッハギャラリーで見たクレーの版画や素描に刺激を受けて以来、ずっとクレーの展覧会があると出かけていました。今回の企画は、日本や中国の美術に対するクレーの影響が、どんなカタチで表れているかという視点で、主に素描を中心とした展示内容になっていました。やはりクレーは面白いと改めて思いました。サクっと描いた線や思い惑う線がクレーの心理描写そのもので、落書きのような紙片がクレーの内面を雄弁に物語っていました。北斎漫画のポーズを模した小作品に、自分は何かを瞬間的に感じ取って、当時クレーの身近で起こっていた出来事等に思いを馳せました。晩年迷いの無い線や面が強靭な画面を作り上げても、カタチや色彩の詩人でありつづけたクレーの詩魂を感じずにはいられませんでした。

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