「魔術的芸術」伝説的メッセージ…

A・ブルトンの「魔術的芸術」を読み進んで、ついに近代の時代に入ってきました。「伝説的メッセージの継承」という章はルネサンスから始まりますが、ここでは有名なダ・ヴィンチではなく、コージモを取り上げています。「汚物にまみれた壁に、彼はこの世のもっとも美しいもの、馬や戦い、すばらしい都市や壮大な風景を読み取っていた。」とコージモ絵画を語っています。次にカロンという政治的アレゴリーや壮麗な祭儀を描いた画家に不安な想像力を見出しています。そこからアングルにいたるまで通念としての美術史にはほとんど登場しない画家が続いています。「魔術的芸術」という視点で美術史を見直す時、最近になって発見された画家も含めて、近代的思考による合理化(ルネサンス等)と相容れない要素があって、人間が創造的行為のために何を受け入れてきたかを浮き彫りにする結果になっています。  Yutaka Aihara.com

関連する投稿

  • 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
  • 平塚の「川瀬巴水展」 先日閉幕した展覧会を取り上げるのは、自分の本意ではありませんが、展覧会の詳しい感想を述べたくてアップすることにしました。画家川瀬巴水のまとまった仕事を見たのは、私にとって初めてではないかと思います。 […]
  • 「ロダンとの関係に関する仮説」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第4章 陶製彫刻と木彫浮彫(1889年と1890年)」の「5 […]
  • 再開した展覧会を巡り歩いた一日 コロナ渦の中、東京都で緊急事態宣言が出され、先月までは多くの美術館が休館をしておりました。緊急事態宣言は6月も延長されていますが、美術館が漸く再開し、見たかった展覧会をチェックすることが出来ました。 […]
  • 新宿の「モンドリアン展」 先日、見に行った東京新宿のSOMPO美術館で開催されていた「モンドリアン展 […]

Comments are closed.