「魔術的芸術」遠まわりの…

A・ブルトンの「魔術的芸術」を今夏じっくり読んでいます。表題の「遠まわりの魔術」というのは本書の中で中世の芸術活動を扱った章です。ビザンティンの宗教的厳格さからの解放によって、悪魔のテーマを画家たちが挙って取り上げる時代背景があり、デューラーやグリューネヴァルト、さらにボードレールの言葉に「ひとりの人間の知性が、どうしてこれほどの悪魔的なものや驚異をふくみ、これほど恐るべき不条理を生み、描写しえたのだろうか。」と言わしめたブリューゲルの活躍が記載されています。後半はボスの諺に基づいた宗教絵画、とりわけ信仰主義と反抗精神とが奇妙なかたちで結びついた芸術家のことが論じられています。ボスの代表的な絵画における様々な論証が、ボス・ワールドの魅惑に憑かれた自分にはたまらなく楽しくて、この「遠まわりの魔術」の章だけでも充分と思わせるだけの知識が詰まっていると感じました。「ボスは、理にかなったカタルシスによってではないにしても、少なくても、<善>と<悪>とが大きく発展したかたちで融和している作品の完成によって、自分が『救われている』と考えているように思われる。」という箇所に大きく頷いてしまいました。

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