「国宝武人ハニワ 群馬へ帰る!」
2009年 8月 6日 木曜日
表題は群馬県立歴史博物館の開館30周年記念展として企画されたものです。知り合いの学芸員の杉山秀宏さんからご招待をいただき、さっそく訪れました。杉山さんの案内で、埴輪には地域性があることの説明を受けました。それは巧妙で高い技術力をもっていた地域や、逆に埴輪を埋葬する習慣がなかった地域があること、それは産出する土の影響があること、古代でも交易が行われて埴輪がそれぞれの地域に出回っていたことなど、興味深い話ばかりでした。確かによくみると工人によって細工に功拙が見られ、当博物館がある群馬県は秀でた技術をもっていると思いました。近畿出土の埴輪は巧みで優れているものの、カタチがまとまりすぎているように思います。高い文化を誇っていた証拠ですが、美術的に見ると群馬や新潟あたりの人間臭さの残る埴輪が楽しく思えてきます。武人埴輪というのは、東京の博物館に長くあり、映画「大魔神」のモデルになった埴輪だそうで、なるほどどこかで見たような風貌は特撮映画によるものかと納得しました。 Yutaka Aihara.com
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Tags: カタチ, 展覧会
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