「野村仁 変化する相」展

自分の個展開催中に東京の美術館を巡る旅を続けています。今日は六本木にある国立新美術館に行ってきました。「野村仁 変化する相」を見てきました。巨大ダンボールが自然に任せて崩れ落ちていく様を撮影して脚光を浴びた現代美術家の大掛かりな個展と知って、どんな思考を持つ人だろうと興味津々で会場を見て周りました。表現の根本に「時間」があって、しかも宇宙にまで視点を広げ、まるで観測のようにして表す作品は、果てない空間と時間とその偶然が織り成すもので、しばし悠久な時に思いを巡らせました。思索とは別に個人的な美意識で言えば、表現のひとつになっていた太古の樹木や化石の美しさに惚れ惚れしました。ただ、階下で開催していた「ルネ・ラリック」展に比べると観客層が若く、やはりこうした思考型の展覧会はまだまだ大衆に受け入れられるのに時間がかかるのかなと思いました。

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