「ゲルニカ」を考える

通勤の車内で読んでいる美術評論集にピカソの「ゲルニカ」に関するこんな記述がありました。「ロルカ(スペインの劇作家・詩人)がもしもあと数年生きていたならば、[ゲルニカ]を「死の国」への哀歌として公表したピカソに対し、どのような思いを持っただろうか。とりわけ、絶叫の光景を見入る雄牛の姿をどう思っただろうか。めざとくそこに欺瞞を見出したにちがいない。国外で正義の人として活躍する強かさの裏に、道徳上の不安を解消し英雄的な画家として生き延びてゆきたいとするピカソの弱さがあることを見てとったにちがいない。(略)」(酒井健著「死と生の遊び」より)自分が「ゲルニカ」に感じていた単純な感想とは違い、こんなふうな洞察があるんだと思い知り、歴史が認めた偉大な絵画が描かれた背景や画家の置かれた社会環境などを調べると、幅のある解釈が成り立つことに驚いています。そこにこうした評論の面白さがあると言えます。              Yutaka Aihara.com

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