絵画的要素に遊ぶ

新作陶彫の土台に砂マチエールを貼りつけて、ようやく油絵の具で砂に色彩を施すところまできました。土台は直方体を立てたような形態で、それを崖に見立てて、その上に陶彫を置き、ちょうど街が連なるようなイメージにしました。崖の壁の部分は厚板を彫ってレリーフ状にしたものです。砂が貼ってあるので木目は消えています。崩れかけた壁といった最初のイメージに従い、色彩をばら撒いてシミのような斑点を作りました。何度も色彩を重ねて重厚さを出しました。それは彫刻的な作業ではなく、絵画的な要素をもった作業でした。絵画としての表面処理は時間を追うごとに楽しくなり、色彩の混合をあれこれ試しながら、時には霧状に絵の具を飛ばしてみたり、絵の具が筆から垂れるまま流れるままに任せてみたりしました。夕方になって、何とかまとめ上げなければならなくなり、偶然出合った色彩同士を調和させるために中間色を散らしました。筆で描くことはいっさいせず、偶然の効果を期待しつつ長時間にわたって遊んでしまいました。 Yutaka Aihara.com

関連する投稿

  • 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
  • 週末 木箱に収納開始 週末になりました。週末になると今週の創作活動のことを書いていて、個展に向けた進捗状況を述べさせていただいています。陶彫部品を梱包する木箱が15個完成し、今週からその木箱に陶彫部品を2・3点ずつ収納し […]
  • 週末 創作へのモチベーション 昨日までは梱包用木箱作りと陶彫部品の梱包に励んでいましたが、今日は来年に向けた新作の陶彫制作を行うことにしました。今月の個展が迫っているので、その準備として梱包をやっていたのですが、そればかりやって […]
  • 週末 梅雨前線の活発化 週末になりました。昨晩から関東地方は豪雨に見舞われていて、夜中に警戒警報が鳴りました。土砂災害に纏わる避難勧告が出されていましたが、私が住んでいる地域は周囲に河川が少ないため、大きな被害にはならなか […]
  • 週末 5点目の陶彫成形と加飾 今日が日曜日である意識が、仕事を退職をした私は既に薄れていますが、美大生と美大受験生が朝から工房にやってきていたので、今日が休日であることが分かります。この子たちはウィークディには学校に通い、週末に […]

Comments are closed.