横浜の「田渕俊夫展」

同じ日本画家と言えど加山又造と田渕俊夫はまるで異なる個性を持った大家と言えます。同じ水墨画でも加山芸術が岩肌に打ちつける波濤のような華麗さがあると思えば、田渕芸術は静寂な森林や草原に爽やかな風を送る微細な世界観があります。しかも墨の濃淡だけで表現された鬱蒼と繁る木々の美しさ。いつぞやのテレビで紹介された投影機材を使った構図に、墨のひと筆ひと筆を丹念に入れていく気が遠くなるような作業。そうした描写の蓄積が、やがて大きな世界を作り、画面から潤んだ空気が流れ出してくるような味わいがあります。「田渕俊夫展」は横浜のデパートで開催されていますが、会場に一歩踏み込むとデパートの喧騒は忘れて、智積院講堂の襖に収まる予定のきりりとした世界が立ち現れて心が洗われます。以前から屏風には注目してきましたが、今回の展覧会で襖絵の面白さにも心が動かされました。

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