ドナルド・ジャッドの箱

現代彫刻は空間についての概念を学ぶものだということを大学を卒業した後になって知りました。これはもう哲学と言っていいもので、空間の捉えを思索し、個展の場で画廊の空間にそのコンセプトを表出させるものです。そうした考え方に立たなければ、米人彫刻家のドナルド・ジャッドを初めとする同世代の彫刻家の仕事は理解できません。自分はドナルド・ジャッドの作品があったにも関わらず、美術館で立ち止まることもなく通り過ぎてしまったのが、初めてジャッドの箱型の立体に遭遇した時だったと思います。何の変哲もない金属製の箱、というのが第一印象で気も留めずに歩き去ったように思います。ジャッドはヨーロッパ的な量や動勢や構成的な彫刻の要素を否定し、単なる物体としての彫刻を初めて世に出した人で、今までの彫刻の概念に囚われない様々な表現が登場する契機を作った人でもあります。自分もそう考えれば納得できますが、そこにある物体の何が革新性をもたらすものなのかわからない時があります。では、ジャッド以後の現在はどうなのか、自分の気づかないところや考えが及ばないところに新しい価値感が眠っているのかもしれません。                         Yutaka Aihara.com

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