素材の変容

素材がもつ力を引き出すことは彫刻にとって重要なことです。石や木はもともと自然界にありのまま存在しているので、それらに手を加えることで豊かな表現を示せるならば、彫刻としては大成功と言えます。逆に手を加えたことで素材が萎縮してしまうのであれば、彫刻などやめて、ありのままの状態で自然界においておく方がよいと考えます。土も自然界にありますが、石や木と違い可塑性のある素材なので、他の素材よりも便利に人に利用されてきました。とくに焼きものは火によって土が変容し石化してしまうのです。それによって液体を漏らさない器になったり、火を内部に入れた暖炉や照明になったりしています。今制作中の作品は木を焦がし、木が変容して別の表情を見せることを意図して作っています。生木と炭化した木のコントラストが気に入って116本の柱をバーナーで炙り、それらの柱が林立する風景を演出しようとしているのです。素材の変容も素材の持つ力であると認識しています。                               Yutaka Aihara.com

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