終わりきれない「近代」

表題は樋田豊郎・稲賀繁美編集による故陶芸家八木一夫に関する本です。八木一夫が中心になって活動した「走泥社」や当時オブジェ焼と呼ばれた機能を持たない陶磁器の作品を自分なりに理解してみようと思って、京都に行った際、この本を購入しました。工芸品として扱われていた陶磁器に、立体造形としての意識変革を加えた八木一夫の功績は、自分が大学で彫刻を始めた頃知りました。記念碑的な作品「ザムザ氏の散歩」は革新的な意味合いをもっていることを承知の上で、その愛らしさや軽妙なフォルムに目が奪われます。その他八木一夫の作品にはミロのような絵付けの壺があったり、イサムノグチのような造形があったりして、いずれも洒落た味付けがされていて、前衛という大げさなものを感じさせない、それでも前衛であるのには変わりない雰囲気をもっていると思います。この本を読み終えて、しばらくは自分の世界と照らして、本に書かれたことをヒントにして陶彫のことを考えてみたいと思っています。

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