「バベルの塔」印象記

先日のテレビ番組で流れたウィーン美術史美術館のブリューゲルの部屋。自分が20歳代で5年間暮らしたウィーンで印象深かったひとつが、このブリューゲルの部屋でした。その中でも「バベルの塔」が大好きで、この絵画は画面構成といい、表現力といい、自分の心を捉えて離さない魅力が詰まっています。大きな建造物が画面いっぱいに描かれ、その建造物が未完で、むしろ崩壊しているようにも見えるところがいいのです。シンメトリックに完成された塔であったら見飽きることもあるでしょう。それが建造途中なのか崩壊が始まっているのかわからないけれど、画面にこれ以上の配置は考えられないほど計算されつくした状態で描かれている塔は、いつまでも見ていられる魔力を秘めていて、聖書にある物語に人を誘致するに充分な説得力をもっていると言えます。「バベルの塔」は自分が現在作っている「発掘」シリーズの崩壊された都市に影響を与えた作品なのです。        Yutaka Aihara.com

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