構想と単純作業の蓄積

美術とは絵を描くことや彫刻を作ることではなく、人の眼が認識する形態や色彩に新しい意味や視点を与えることだと考えています。絵画や彫刻はそうして思考した結果を表現する方法・手段であると思います。構想の段階で全ての結果を出し、あとはその構想を自分で満足できる方法で具現化することが制作となります。構想と制作が行きつ戻りつする作家も多いと思いますが、自分は構想と制作を分けてやっている場合があります。制作が始まると最初の構想で描いた設計図通りに進めます。プロセスとしてはデザイン分野に近いものがあります。ですから制作はほとんど単純作業です。単純作業の蓄積も最初の構想にあって、時間を封じ込めたものを表現として意図する場合があります。集合彫刻の考え方も単純作業の蓄積、あるいは仕事をした時間の凝縮として展示します。1年間1点、しかも定期的に作業を継続することが、つまり経過の表現として作品化しているのです。         Yutaka Aihara.com

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