加計呂麻島のデイゴ並木

奄美大島の古仁屋港からフェリーで、対岸にある加計呂麻島に着いたのはもう昼を過ぎた頃でした。小さな入り江が点在する島をうねうねと県道が続き、その入り江で珊瑚のかけらや石ころを拾ったり、路傍の古い石垣を写真に撮ったりしているうち、たちまち時間が経ちました。フェリーの出航時間を考えながら過ごす慌しさは、この島にそぐわないとつくづく感じました。諸鈍というところにデイゴの並木道があると知って見に行きました。この季節にまだ花はなく幹だけの木々が海沿いの通りに面して並んでいました。花の季節はさぞや奇麗だろうと思いを馳せて諸鈍を後にしました。古仁屋では半潜水船に乗って水中を見てきました。テーブルサンゴが気に入りました。海中の造形の美しさに酔った分、自分の造形の退屈さに海底のようなブルー(な気分)になりました。この奄美大島体験がどう作品に表れるのか、見当もつかないまま機上の人となりました。RECORDの筆も進まず、外界からの刺激に収拾がつかない内面を抱えたまま横浜に帰ってきました。   Yutaka Aihara.com

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