杉材にある裂け目

今まで木彫には集成材や合板、一木であればヒノキを使ってきましたが、今回の木彫はあえて裂け目のある杉を使うことにしました。木は長い樹齢を生き、やがて人の手によって伐採されて材木になります。材木が乾燥する時に生じる反りや裂け目は、いわば木が生きていた証であると考えます。自分はそれが造形の妨げになると思って、裂け目が無く木目が均等である高価な木や加工された木を使ってきましたが、今回は裂け目をあるがままにして、むしろそれを造形の一部としていこうと思っています。以前作ったテーブル彫刻に廃材を利用したことがあります。今回も木のもつ自然な姿をそのまま利用しようとしているのです。建材であれば裂け目を表に出さないことがあると思いますが、アートは違います。木が林立する姿を表現するのに裂け目も必要なのです。これからどう素材と向かい合っていこうか鑿と木槌で杉の柱と対話しながら進めていこうと思います。               Yutaka Aihara.com

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