美術鑑賞のノウハウ

今日は終日横浜市民ギャラリーにいました。今日だけで1000人を超える入場者がいて大盛況です。というのも同館3Fでは児童生徒作品展が開催されていて、小中学生やその家族の方々が作品展を見に来たついでに私たちのグループ展を見ていくのです。昨年もブログに書きましたが、今年も小さな子どもたちが美術作品にどんな反応を示すか観察することしました。全身で興味を表す子どもたちの反応はとても参考になるのです。アートは理論や哲学が必要ですが、同時により本能に近い子どもが示す態度も軽視できません。しかしながら今日は気になったことがありました。作品によっては体験型の遊戯を伴うものもあるのですが、私たちのグループ展はそういう表現はなく、眼で見て鑑賞するものばかりです。そこに親子連れがやってきて、子どもが私のテーブル彫刻の下に潜り込み、顔を出したところを写真に撮る親御さんがいました。思わず注意を促してしまいましたが、補強金具を使っていない私の彫刻が倒れてきたらどうなるのかと思うとちょっと焦りました。それよりも小さな子どもに対して美術作品の鑑賞のノウハウを親御さんは教えるべきではないでしょうか。将来に向けて文化遺産を大切に扱う心を育てるのはこうした小さな頃の体験によるところもあろうかと思います。市民ギャラリーはそうした教育の場でもあると考えます。自分たちの作品を云々することを言っているのではありません。展示されているものをどう鑑賞するのか、市民意識の高まりを期待したいところです。

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