オペラ「モーゼとアロン」
2007年 12月 27日 木曜日
A・シェーンベルクは無調音楽の先駆者として、20数年前に自分がウィーンに暮らしていた時から知ってはいました。ただ知ってはいましたが、その音楽に触れる機会は多くはなく、実際に聴いた時は驚いてしまいました。ジョン・ケージや武満徹といった現代音楽家のことを知っていたとしても、それらは知識として学んでいたのであって、その先駆的なシェーンベルクの音楽がウィーン歌劇場に響いた時に、初めて音楽も美術同様その脈々と続いたものが崩れ去り、新しい秩序が生まれていることを実感したのでした。それはオペラという形式で自分の前に現れました。しかも旧約聖書の出エジプト記による「モーゼとアロン」。音楽に旋律やリズムはあるものの心地よいものではなく、むしろ登場人物の心の葛藤を描くような緊密に構成されたもので、最後は朗読に近いものに聴こえました。年中ウィーンナーワルツが居酒屋などで聴ける街にあって、これは新鮮な音感と捉えることができ、初めて知識ではなく心の琴線に触れるものとして受け入れたのでした。 Yutaka Aihara.com
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Tags: ウィーン
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