画家E.L.キルヒナー

ドイツ表現主義を調べていくとベルリンの「ブリュッケ」とミュンヘンの「青騎士」という2つの芸術家集団に出会います。「青騎士」は年刊誌が発行され、カンデインスキーの理論が核になった集団であるのはよく理解できます。「ブリュッケ」は数人の画家が共同制作をして始まったようで、そのリーダーがよくわかりません。最後まで「ブリュッケ」という集団にこだわり続けて年代記まで出そうとしたキルヒナーがその役割だったのかもしれません。カンデインスキーは昔から名が知られた画家です。モンドリアンと並んで中学校や高校の美術の教科書に掲載されています。しかしながらキルヒナーは日本では馴染みの無い画家です。自分も実際に絵画を見たのはドイツに渡ってからで、とくにモノクロの木版画で風景を描いた作品には感銘を受けました。画家の性格もなかなか好戦的だったようで、画風にも挑みかけてくるような雰囲気が伝わります。ただ当時まだ共産圏だった東ドイツのドレスデンにも陸の孤島だったベルリンにも行かず、キルヒナーの興味はそこで尽きてしまったことが残念です。

関連する投稿

  • 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
  • 「状況-ファン・ゴッホとの関わり」について フランス人の芸術家ゴーギャンの生涯の中で、劇的とも言える一幕があり、そのドラマティックな事件がゴーギャンを美術史とは関係なく、世界的に有名にしたと言ってもよいと思っています。それはオランダ人の画家フ […]
  • 再開した展覧会を巡り歩いた一日 コロナ渦の中、東京都で緊急事態宣言が出され、先月までは多くの美術館が休館をしておりました。緊急事態宣言は6月も延長されていますが、美術館が漸く再開し、見たかった展覧会をチェックすることが出来ました。 […]
  • 「状況-マルティニーク島滞在」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中で、今日から「第3章 彫刻的陶器への発展と民衆的木彫の発見(1887末~1888末)」に入ります。今回は「1 […]
  • 「グロテスク」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第3章 彫刻的陶器への発展と民衆的木彫の発見(1887末~1888末)」に入り、今回は「4 […]

Comments are closed.