加藤正 銅版画展

加藤さんは大学の先輩です。学生時代より腐食銅版画一筋にやってきた人で、自分がウィーンに住んでいた頃、ひょっこりやってきてウィーンにしばらく滞在していました。その頃の思い出も銅版画のモチーフとして登場していますが、最近は具象から抽象(というより心象風景)に画風が変わってきています。明日まで横浜鶴見駅前の「鶴見画廊」で個展を開催しています。同じ作家としては長いつき合いになります。具象を極めたような小品「うさぎ」と「かえる」を以前購入して、自宅のアトリエに飾ってあります。繊細で優しいエッチングです。今回の個展に出品した新作は、銅板に溶剤等をつかって海の中の泡とも何かの陰影ともつかない不思議な世界を表現しています。偶然に出来た現象で遊んでいるような画面です。以前までの計算尽くめの具象とはまるで違う世界観を獲得したような個展でした。       Yutaka Aihara.com

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