色彩コンプレックス

高校時代に大学の工業デザイン科に入りたくて、デッサンや色彩構成の基礎学習をやっていました。デッサンも初めから上手だったわけではなく努力して獲得した技能でしたが、色彩構成に至ってはひどいものでした。自分には色感がないと気づいた途端、矩形を色面で分割する構成が嫌になりました。絵画やグラフィックデザインの道はまずありえないと思っていました。彫刻への道は色彩コンプレックスからの解放だったのかもしれません。ところが、イタリア彫刻界の巨匠マリーニが豊かな色感を持っていたのに衝撃を受けて、色彩に対して敏感になりました。自分は重い色感をもっていることがわかり、現在作っている陶彫や木彫に自分らしさを追求した色彩を用いています。明るい色彩は今でも使えません。自分には加齢するほど色彩を明るくしたいという願望があります。豪奢で華麗なレリーフ屏風を絶筆として作り上げ、自分の葬儀を絢爛たる造形で飾りたいと妙なことを考えているしだいです。色彩コンプレックスの克服が今の自分の課題のひとつです。    Yutaka Aihara.com 

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