マリーニの色彩

イタリア彫刻界の巨匠であったマリノ・マリーニの大規模な展覧会があったのは、もうかれこれ30年近く前になるでしょうか。当時自分はまだ学生で彫刻を学び始めた頃でした。同じテーマで何度も塑造を試みる巨匠の作品に畏敬の念をもっていました。中でも驚いたのは壁に何点も掛かっていたタブロー(油絵)でした。その色彩豊かな世界は、立体にも通じ、また立体では伝えられない思い切った色面構成がありました。自分にはこれほどの色彩感がなく、色を楽しんで使っているマリーニが羨ましく感じました。イタリアの開放的な太陽が、大らかな形態と色彩を育んでいると想像しました。立体と併行して平面作品を作っている自分はこんなところにルーツがあるように思います。学生時代に目に焼きついた名作の数々はなかなか頭を離れることがありません。                           Yutaka Aihara.com 

関連する投稿

  • 上野の「イサム・ノグチ 発見の道」展 先々週、家内と東京上野にある東京都美術館で開催中の「イサム・ノグチ […]
  • 新作完成の5月を振り返る 今日で5月が終わります。今月は個展図録用の写真撮影が昨日あったために、これに間に合わせるために夢中になって制作に明け暮れた1ヶ月だったと言えます。31日間のうち工房に行かなかった日は2日だけで、29 […]
  • 再開した展覧会を巡り歩いた一日 コロナ渦の中、東京都で緊急事態宣言が出され、先月までは多くの美術館が休館をしておりました。緊急事態宣言は6月も延長されていますが、美術館が漸く再開し、見たかった展覧会をチェックすることが出来ました。 […]
  • 版画集「予感の帝国」について 先日、大きな企画展を見に行った東京都現代美術館で、「Tokyo Contemporary Art […]
  • 「マーク・マンダースの不在」展の図録から 先月の13日(火)に東京都現代美術館で見た展覧会の図録が郵便で送られてきました。展覧会についての自分の感想は既にNOTE(ブログ)にアップしていますが、「マーク・マンダースの不在」展について、自宅に […]

Comments are closed.